集団療法におけるウォーミングアップ術 ―じゃんけん編―
集団療法におけるウォーミングアップ術 ―じゃんけん編―
メンバーの緊張をほぐし、集団の雰囲気を和ませるために、まずウォーミングアップを行ないます。そのウォーミングアップのあれこれを思い付くままに紹介したいと思います。ウォーミングアップ法の中には、例えば、親子のコミュニケーションにも使用できるものや、プレイセラピー、あるいは教育などに応用できるものが多々あります。気の向いたときに、ランダムに紹介してゆきますね…。
◆じゃんけん遊び
これは宴会のプレゼント抽選のときなどに行なわれることが多々見受けられるものです。やり方は簡単です。基本的にはリーダー1人とメンバー全体が「じゃんけん」をするというゲーム感覚のウォーミングアップ法です。椅子から立ち上がり、リーダーとメンバーが、片手を挙げて「じゃんけんポン」の合図でいっせいに「じゃんけん」をします。賑やかで緊張も少なく、仲間意識を高めることができます。
通常は、リーダーに勝った人と「あいこ」の人だけ残って、負けた人は椅子に座るという形式を取ります。テレビ番組などで多くの観覧者を相手にする場合は、音頭を取る芸能人に勝った人だけ立ったまま残らせて、負けた人と「あいこ」の人は椅子に座らせますね。早く決着を付けたい場合はそれでもいいと思いますが、通常、グループワークは10人程度で実践する場合がほとんどなので、負けた人だけ椅子に座らせるというスタイルを取るのが一般的です。
この「じゃんけん」を更に展開させ、メンバーの中から誰か音頭を取ってやってみたい人を募って、その人とスタッフを含めたメンバー全体が「じゃんけん」をするというのも考えられます。ただ、「自分はじゃんけんが弱い」と思い込んでいる人や、あまりにも負ける場合が多い人がいるときなどには、そのメンバーの傷つきを避けるために、リーダーは機転を利かせて、雰囲気を作り直したり、今度はルールを変更して、『負けるが勝ち』というように、今度は「じゃんけん」に「負けた人が勝ち」というふうにしてみるのも、ゲームを楽しいものにするために有効です。この「じゃんけん」に負けた人が勝つという逆パターンのウォーミングアップ法のことを『負けるが勝ちじゃんけん』と呼びます。
また、せっかくですから、最後まで勝ち残った人には、例えば、綺麗なカードや、ちょっとしたお菓子、あるいは『拍手のシャワー』といったような、ユーモアのあるプレゼントを添えると、メンバーのモチベーションも高まります。
個人的なことを言えば、私は文房具屋さんで売っていたメモ帳くらいの小さな『表彰状』(何枚も綴ってあったので、それを準備しておくと何回も使うことができて便利でした)を、こういうようなゲームのプレゼントにしていました。
「表彰状…。あなたは○○において、並み居る強豪に打ち勝ち、最後まで勝ち抜いたという偉業を成し遂げました。なので、ここに表彰状を贈ります。おめでとうございます!」などとユーモアたっぷりに言葉を添えて、その小さな表彰状を渡しました。もらった人も嬉しいですし、それを受け取る様子を、まわりの人たちから笑顔で拍手して祝福してもらうことで、集団の仲間意識を高めることができました。こうしたゲーム感覚のウォーミングアップをするときは、リーダー自身が「遊び心」を持って楽しむことが大切ですね。
表彰状の贈り方についても、1等賞には「がんばったで賞」、2等の人には「もう少しだったで賞」というようにしてユーモアを交えることも面白い工夫です。
気軽にできるウォーミングアップ法として、『身体でじゃんけん』というものもあります。これは身体を動かして2人ペアで「じゃんけん」をして勝ち抜き戦をするゲームです。例えば、両足を軽く揃えたままで相手と対峙します。そして「グー」は足を揃えたまま、「チョキ」は片足を前に出す、「パー」は横に足を広げる、というように身体のポーズで「グー」「チョキ」「パー」を表現します。「じゃんけん…」とお互いに掛け声をかけながら、ちょっと飛び跳ねて、瞬間的に自分が考えている「じゃんけん」の型のポーズを取ります。負けた人は椅子に座って、残った人でそれを続けてゆき、最後まで残った人がチャンピオンというゲームなのですが、身体を使った「じゃんけん」自体が面白いので、勝ち負けに関わらず、それを何回か楽しむというやり方も考えられます。
また、よく高齢者施設などのデイケアで行なわれる頭の体操の一種なのですが、メンバーが両手を前に突き出し、リーダーの掛け声に合わせて、「チョキ・パー・グー」「チョキ・パー・グー」というように声を出しながら、両手でその「じゃんけん」の形をリズミカルに作るという運動もあります。途中から順番を変えて、「パー、グー、チョキ」にしたりするなどして変化を付けると、よりいっそう効果的な頭の運動になります。指先の運動は「脳」にとって良い効果があることは知っていますよね。やってみると結構難しいですよ…。
最後に、ウォーミングアップなど集団療法の活動の原則を記したいと思います。
①活動はメンバーの尊厳性を高めるものであること。
②活動はメンバーの自発性や創造性を引き出すものであること。
③活動はメンバー同士の相互作用を活発にするものであること。
④活動はメンバーの社会的行動能力を高めるものであること。






















































